相続放棄の手続きの流れや必要書類

被相続人が亡くなった場合に、その所有している財産は相続人に継承されるとするのが相続です。

相続は財産や権利だけでなく、負債(借金)や義務も承継するものです。

場合によっては受け継ぐ財産よりも負債のほうが大きくなって、相続人の人生に多大な影響が出てしまうこともあります。

そこで法律では相続人が必要以上に負債を抱え込まないでも済むように、相続放棄という権利を認めています。

この相続放棄の権利を行使すれば、財産や権利を受け継ぐことはできなくなりますが、借金なども受け継がなくて済みます。

相続放棄は家庭裁判所に申述しなければいけません。

相続放棄の手続きの流れ

手続きの流れとしては、まず最初に財産や負債の総額を調査し、実態を把握します。

相続財産が確定すると、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して申述書を提出します。

申述書の書き方などは裁判所のホームページに掲載されていますので参考にするといいでしょう。

申述書を提出する際には手数料などが必要になりますが、金額は各裁判所によって異なりますので事前の確認が必要です。

申述書を提出すれば、家庭裁判所から照会書が送付されてきますので、それに回答し返送します。

家庭裁判所はこの照会書を審理して相続放棄の可否を決定し、申述者に通知が送られます。

相続放棄が認められた場合は、債権者にその旨を伝えるためにも相続放棄受理証明書を家庭裁判所に発行してもらったほうがいいでしょう。ただしこの書類の発行にも申請が必要です。

 

相続放棄の必要書類

・相続放棄申述書

・申述人の戸籍謄本

・被相続人の死亡の記載がある戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本

・被相続人の住民票除票

・収入印紙800円分

・80円切手5枚程度

相続放棄の期限

相続放棄の手続きには期限が定められており、相続の開始を知った時から3か月以内に手続きを行わなければいけません。

ただ相続財産の実態の調査は難しく、期限が過ぎてから負債が判明することもあります。

そのような事態を避けるためには、相続財産の調査から相続放棄の手続きまですべてを任せられる弁護士の力を借りるのも有効な方法です。

相続放棄の撤回について

相続放棄を行うと初めから相続人にならなかったものとみなされ、一度放棄を行うとそれを撤回できないという性質を持っています。

しかし例外として、脅されて相続放棄をしたという場合や未成年者が法定代理人に無断でした場合など、相続放棄の取消ができるケースもあります。

相続放棄の撤回ができるかどうかは法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

相続放棄と代襲相続

相続人が放棄するとその子供などの代襲相続(相続人となる人が死亡していたりする場合、その子供が相続人となる制度)も発生しなくなりますので注意が必要です。

相続放棄は生前にできる?

結論から言いますと、相続放棄は生前にはできません。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純承認、限定承認、または放棄をしなければいけません。

また、相続放棄をする場合には、家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります。

相続放棄は、相続が起こった後に行うものですので、被相続人に多額の借金があるなど明らかに相続放棄をすることが決まっていたとしても相続放棄は生前にはできません。

ただし、遺留分の放棄は家庭裁判所の許可を得れば行うことができます。

例えば、被相続人の父親がアパートを経営していたとします。相続人は、長男と次男の二人だけとします。アパート経営の方は長男に任せるつもりだと考えているとします。

父親が亡くなった後に、アパートを含む相続財産を長男と次男で問題なく分割できればいいのですが、相続では親がいる間はもめることは少なく、親が亡くなった後で相続人同士でもめてしまうことが多いです。

現金があまりなく、相続財産がアパートだけだと次男が遺留分の主張をすることになると相続手続きをスムーズに行うことができません。

そこで、父親は生前に次男に遺留分を放棄する手続きをさせておき、「アパートは長男にすべて相続する」旨の遺言書を遺しておきます。

次男には、遺留分放棄をさせる代わりに、生前贈与により財産を与えておけばいいわけです。

なお、遺留分の放棄は必ず家庭裁判所の許可を得ておかなければなりませんのでご注意が必要です。

相続放棄を弁護士に依頼するメリット

最近では相続放棄を代理で請け負っている弁護士事務所は多くあります。

弁護士に相談すると相続放棄の相談に乗ってくれ、財産調査が進んでいないケースでプラスの財産がないかどうかが判明しない場合は限定承認を提案されることもあります。

相続放棄自体は手続き面でもややこしくなく必要書類も少ないため、相続人個人でも行うことができますが、

なにより相続放棄の手続きが可能な期間が3カ月ということや撤回の禁止や代襲相続が発生しないなど注意すべき点もあるため、慎重に行う上で弁護士に相談するとベストです。

また、相続放棄の理由が借金であれば、債権者、つまりお金を貸与している人とのやり取りも生じます。

しかし、弁護士であればその対応も任せることができ、債権者から連絡があっても、あなたは「弁護士に任せています」という一言で済ませることができます。