相続の流れや手続き

基本的に誰にでも降りかかる相続ですが、実際に行う際の手続きは非情に複雑です。相続の流れに沿って見ていきましょう。

死亡後の手続き

相続は、亡くなった人の財産や権利、義務などを受け継ぐことを言います。

その流れは、まず故人の葬式の準備から始まります。葬式までは意外と時間があるので、死亡届や保険金の手続きなどを行いましょう。

死亡届の提出期限は死亡を確認した日から7日間となっています。死亡診断書も医師に作成してもらい、作成日から7日以内に役所に提出しましょう。

また、故人のその年分の所得を申告する準確定申告を、死亡から4ヶ月以内に行う必要があります。つまり亡くなった人の所得税の確定申告を代理で行わなければならないのです。

納税する場合も還付される場合も、財産の金額が変動しますので注意して下さい。

遺言書の確認

遺言書がある場合は、その内容に従い相続を行います(指定分割)。

その際、家庭裁判所で検認という手続きをしなければいけません。検認は遺言の偽造、破損、紛失などを防ぐ目的で行われます。

遺言が公正証書遺言である場合は、公証役場に原本がありますので検認の必要はありません(その他にも自筆証書遺言や秘密証書遺言など遺言書には種類があります。詳しくは遺言書の作成についてご参照ください)。

ちなみに、遺言で、ある特定の人物一人に財産をすべて相続すると記されている場合でも、遺留分という最低限の相続分があります。

ただし、遺留分は請求しなければ受け取ることはできませんので、詳しくは遺留分減殺請求についてをご覧ください。

また、遺言で遺言執行者に定められた場合、相続に必要な手続きを相続人の代表として行わなければなりません。

財産調査

遺言書がない場合や無効の場合は相続する遺産の分配割合を決める遺産分割協議を行うことになります。その際は、まず遺言者の財産調査を行わなければなりません。

財産としては現金はもちろん、土地などの不動産や株式、貸付金、貴金属などが資産となり、借金や葬儀費用などは負債となります。

財産のうち、負債などを弁済しても遺産が残った場合、それを相続する限定承認という方法があります。なお、負債が多くマイナスの相続となってしまう場合は相続放棄の申述を検討しましょう。

財産調査が終了したら財産に当たるもの(マイナス財産も含む)を一覧にした財産目録を作成します。

財産調査に関しては、遺族が知らないものがあることや労力を必要とすることもありますので、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

相続人調査

財産調査と並行して、相続人調査も行わなければなりません。なぜなら遺産分割協議では相続人全員が合意しないと無効となるからです。

故人が産まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や除籍謄本などを全て収集します。

相続人調査に関しても、弁護士照会という制度を利用して代理で戸籍謄本などを取得できる弁護士に依頼することをおすすめします。

遺産分割協議

財産調査や相続人調査が完了したら、いよいよ遺産分割協議を行います。財産の割合や相続方法はどのような形で決めても構いませんが、相続人全員の合意がなければ無効となります。

協議は集まって行う必要はなく、一人一人を回って実印を貰っても、それぞれに遺産分割証明書を送って実印を貰っても、合意があれば差し支えありません。

また、遺産の内容で不動産などが大きな割合を占めるなど分割が難しい場合は、現物分割のほかにも現物を売却して金銭にかえる換価分割、特定の人物のみがすべての財産を相続する代わりに、ほかの相続

人に金銭等を支払う代償分割、それぞれの相続人の持ち分を決定し遺産を共有する共有分割などがあります。

相続人全員の合意が得られたら遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議で全員の合意が得られなかった場合は遺産分割調停の流れや手続きをご覧ください。

名義変更

遺産分割が決まったら、不動産のなどはできるだけ早く名義変更(相続登記)するようにしましょう。

万が一、名義変更前に本人が死亡した場合、新たな相続が発生することになります。

相続税

一連の流れの最後に、税金の申告をして納税すれば終わりです。

税金については、基礎控除額の3,000万円に法定相続人一人に対して600万円を加算した金額までが非課税となりますので、受け継ぐ財産がその範囲内の場合は申告を必要としません。

また、基礎控除額を超える金額の財産を受け継ぐ場合は申告が必要ですが、配偶者が受け継ぐ財産が1億6000万円までであれば税金が掛からない配偶者控除などの税額控除があり、ほとんどの人は納税することはありません。

このように、手続きの短い期限や素人では難しい手続きも多くありますので、弁護士、司法書士、税理士といった専門家の手を借りて、間違いのないように手続きを行うようにしましょう。